キャンプサイトの廃油石けんについて---------------------------------------------------
オールキャンプで音楽フェスを楽しむ、それが朝霧JAMの特色です。自分達で食べ物を持ち寄り、BBQを楽しむお客さんもたくさんいらっしゃるでしょう。そんな皆さんに今回提案したいテーマが「きれいな水を守ろう!」。キャンプサイトの炊事場に、川や海など、自然の水系を汚しにくい「石けん」を設置します。
@ 石けんとは?
食器や服の汚れはほとんどが油(脂)です。油を落と すには、油に溶ける物を使うのがベスト。石けんとは、ひとことで言うと「脂」と「ナトリウム」がくっついたもの。石けんの脂と油(脂)汚れがくっつき、界面活性作用(後述します)によって水に溶けやすい「ナトリウム」と一緒に流れていく。これが、汚れが落ちる仕組みです。
では、汚れを落とした後の石けんはどうなるの?下水→下水処理場→川そして海へ→浄水処理場→再び家庭の上水道へ。つまり、わたしたちのところへ還ってきます。
石けんは水中のカルシウムと結合して毒性が無くなり「カルシウム石けん」に変化します。これは魚や水中の微生物のエサになります。そして、微生物によってさらに分解されて、最終的には「水」と「二酸化炭素」になり自然に溶け込んで消えてしまいます。
A
合成界面活性剤とは?
ここで、界面活性剤について話しましょう。例えば、ハスの葉っぱの上の水滴は表面張力によって丸い形になりますが、これにある物質を加えると、表面張力が無くなって水滴が平らになり、ツツーッと流れ落ちます。その物質が「界面活性剤」です。ものの界面(表面)に刺激を与えて滑らかにし、汚れを落としやすくする。これが界面活性剤による洗浄力の仕組み。石けんだって、れっきとした界面活性剤です。
ただし、市販の食器洗剤に使用されているのは、化学合成のもの。詳しく言うと直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカノイルオキシベンゼンルホン酸ナトリウム、モノアルキルフォスフェイトプロピルベタインコンプレックス・・・これらが下水を通って川に流れるとどうなるかというと、魚や微生物によって分解されにくいため、川や海の水に残留します。特に直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、魚の致死濃度が高いといわれています。
池や湖や湾では昨今「富栄養化」が問題となっています。つまり、よくニュースで見る「赤潮」「あおこ」がそれです。水中のリン・窒素が増えて藻やプランクトンが増殖し生態系のバランスを崩す、というものです。その一因に、合成洗剤の排水が挙げられます。
B
どこで作られているの?
今回、朝霧JAMのキャンプサイトに設置する石けんは、手作りの廃油石けん。富士宮市内の小規模通所授産施設「ふじさん」の方々が作りました。
「授産施設って何?」それは、心身上の理由などで働くのが難しい方々に、就労や技能修得のための機会を与え、自立を助ける施設です。また、地域にある小さな施設のことを「作業所」と呼び、いろんなハンディキャップを持つ人々が作業や仕事を通じ仲間と過ごしながら、人と人が触れ合い生きる場所です。
「ふじさん」さんでは、石けんの他に国産無農薬小麦の無添加パンや手織りグッズを作っています。みなさんが手にする石けんは、「揚げパン」を揚げた後の廃油から作られているんですよ!
廃油に苛性ソーダを加えて混ぜます。 牛乳パックの型に入れて固めて、2週間かけて乾燥・熟成させます。
音楽が好きな人、そうでない人、ハンディキャップを持つ人、そうでない人、富士宮近辺の人、他地域・他地方・他国の人・・・ いろいろな立場の人たちが、一つの廃油石けんを通して、何らかの形で交流を持ち、お互いに思いを馳せる。私たちは、朝霧JAMが、そういう「出会い」の場であってほしいと願っています。また、「ふじさん」さんの、人と人、地域と人とのつながりを大切にする姿勢は、朝霧JAMS'にも相通ずるものがあります。
「ふじさん」についてはこちらをご参照ください。→http://www6.ocn.ne.jp/~jfujisan/sub2-1.html
C
どこで買えるの?
朝霧JAMのキャンプサイトでの体験を通して自宅でも石けんを使ってみよう!と思った方もいらっしゃるでしょう。町のドラッグストアや生協、100円ショップの「台所用品」コーナーを、ちょっと意識して覗いてみてください。今話題のカラフルな洗剤がズラリと前面に並べられたその棚の、隅っこの方に「台所石けん」「ふきん洗い石けん」の名で石けんがあります。ネット通販で手に入れる、という方法もあります。
石けんの形は固形だったり、液体だったり・・・使い心地はそれぞれ。ものによっては、手や食器にベタベタ感が残るものもあります。いろいろ試してみましょう。
それに、みなさんのお住まいの地域にも石けんを作っている授産施設があるかもしれません。
「エー、わかんない」と思ったら、地域の福祉会館で、授産施設の製品を販売しているところもあるので、まずそちらに足を運んでみてはどうでしょうか。
環境問題に関する情報があちこちで溢れており、一体、何が正しくて何が誤っているのか、判断がつかないこともたくさんあります。
実際、水環境の汚染の原因は複合的であり、最近の合成洗剤はさほど有害ではない、条件によっては石けんも合成洗剤も一長一短、というデータも存在します。しかし「不要になった油を再利用」というリサイクルの観点から、廃油石けんを評価しています。
(筆者個人的には、石けんの「何も残さず消えていく潔さ」が好きです。)
今まで、ゴミの分別、リサイクル、たい肥化に取り組んできた朝霧JAMS'。何が一番、環境にとって良い方法を取れるのか、議論し、道を模索しながら、出来るところから取り組み、行動で示していきたいと思っています。
参考資料:
「石けんノート」太陽油脂(株)
「Q&A 水環境と洗剤」(社)日本水環境学会編集 Mぎょうせい
「合成洗剤は本当に有害なのか?『石けんファシズム』もういいかげんにしたら?」大矢勝 オーエス出版社
参 考:洗剤による水質汚濁の軽減策(「Q&A 水環境と洗剤」より抜粋)
@ 石けんも含め各種洗剤の使用量を可能な限り少なめにする。
A 分解性が高く生物や生態系への影響が少なく、また使用量が少なくて洗浄効果の高い界面活性剤を開発・利用する。
B 下水道、農業集落排水施設、コミュニティプラント、合併処理浄化槽などの生活排水処理施設の早急な普及を急ぎ、生活雑排水の未処理放 流を解消する。
C 水質汚濁や環境問題に関する国民の関心を高める。
D 化学物質のリスクアセスメントおよびリスクマネージメントの手法を構築し、合成洗剤や石けんを広い観点から評価できるようにする。 |