朝霧JAMS'の朝霧高原を学ぼう!レポート「たい肥化」取材記録

1.環境にやさしいリサイクル→朝霧高原牧場の「たい肥化」プラント

 牛が排出した糞尿をたい肥化して、牧草地に撒いて牧草の発達を促し、その牧草を牛が食べて良い乳を出し、そして、再び糞尿として排出する。また、牛舎のベットづくりや、有機栽培の野菜づくりにも活用するという、まったく、自然の営みに適ったリサイクル!

 これが、朝霧高原で酪農を営む皆さんの「たい肥化プラント」である。


2.なかとみ牧場の「たい肥プラント」のシステム

 朝霧高原の中で、有機農法と酪農を営む「なかとみ牧場」にお伺いして、「たい肥化」を勉強しました。

 まず「なかとみ牧場」のたい肥化プラントを見てみよう・・・

*たい肥化プラントの配置図(1)→(5)は、糞尿→完熟たい肥へのステップ 
*鶏糞は、牛の糞尿にMIXして完ぺきなたい肥に!、おがくずはベッドづくりに! たい肥化ブースは5箇所に分かれており、1から5へと流れて、糞尿がたい肥と化してゆく。


STEP1

 まず、牛舎から回収した糞尿を、分離機で、尿などの水分と、糞などの固形物に分離。
分離機から1固体の糞尿を投入。鶏糞もミックスして、1週間〜10日寝かせる。

STEP2
 (1)から(2)のブースに移動。ほどなく、糞尿の温度は80℃近くまで上昇。この段階で、もう、さほど糞尿の臭いはせず。

  こげ茶色をしたたい肥のあちこちに真っ白な塊がいくつか見えている。これは、バクテリアの一種「ほうせん菌」のなせる業である。
 ★ちなみに、このたい肥の中に卵を投入すると、温泉卵が出来る。

STEP3
 ここでさらに10日ほど寝かせる。温度は65℃まで下降。そして(3)のブースへ移動。
たい肥の中の温度は再び80度近くまで上昇!これは「切返し」という大事な作業で、移動しながら混ぜ返すことによりたい肥の中に酸素が補給されて、ほうせん菌の活動が活性化するとのこと。真っ白な塊が目立つ。

 ここまで来ると、発酵が進み、すっかり炭化している。当初の糞尿とはずいぶん違ったものへと変化してきた。さらに10日ほど寝かせて発酵させたのち(4)へ移動。

STEP4
 (4)のブースで、またまた10日ほど寝かせて熟成させると、摩訶不思議、「たい肥」の完成である。

 糞尿の臭いはまったくなくなり、何となくいい香りが・・・。合計で1ヶ月以上かかるのだ。
 ★真っ白な「ほうせん菌」はなんと「なかとみ牧場」オリジナルなのだ!もちろん、周辺の酪農家のたい肥化プラントでも同じようにほうせん菌がたい肥づくりに活躍しているが、家々によってその特性は全く違っている。
「いかに性質のよい菌がプラントに住み着いてくれるかが完ぺき・完熟たい肥を生み出す源です。」貴男さん談


STEP5
 完熟たい肥は(5)のブースで、出番待ち!
牛舎のベッドへ、牧草地へ、さらに菜園の有機野菜づくりへと自然への還元リサイクル
たい肥化への道は、実は、本当に奥が深いのだ。


3.「おがくず」があるのはなぜ?

 なかとみ牧場で一番驚いたことは、完熟たい肥を牧草地に撒いたり、野菜づくりに使うだけでなく、牛さんのベッドとしても使用している点だ。

 牛のベッドにはおがくずが使われるが、おがくずには大腸菌がウヨウヨと含まれているとのこと。そのままベッドとして使用すると、牛は「乳腺炎」という病気になってしまう。乳房が腫れてしまうのだ。

 そこで、完熟たい肥とおがくずを混ぜる。するとおがくず&たい肥の温度はたちまち60度まで上昇し、10分もすると大腸菌は死滅してしまい、牛さんにとって安全かつ快適なベッドが出来上がるのである。しかし、ベッドにも供用しているため、たい肥の量は他の牧場と比べて不足しているのが現状である。

 さて、このようにして完成した、完熟たい肥で育てた牧草は、栄養豊富である。代表的な栄養素としてベータカロチン、ラクトフェリンなど・・・そんな牧草をお腹いっぱい食べた牛たちの出す乳はもちろん滋養たっぷり。

 しかし、天気が悪いとあまり食欲がないとのこと。やはり、燦々と降り注ぐ日光の下で、青々と輝く牧草を食べるのが牛自身や乳にも良い影響を与えるのではないでしょうか。

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